知らないと損するはちみつの基本知識

はちみつに抗生物質が含まれている可能性が高いのを知っておこう

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食品の安全性を気にする人は残留農薬や栽培方法までチェックすることもありますよね。特に、中国など海外からの輸入食品だとその辺が信用できずついつい国産品なら安心という神話を信じてしまいがちです。

では、はちみつの場合はどうなんでしょう?

日本国内に流通するはちみつの95%は輸入品だけど大丈夫?

前に記事でも書いていますが、日本のはちみつ自給率はわずか5%程度しかありません。それ以外の95%は輸入にたよっているのが実情です。→参考記事

そうなると、少なくとも5%しかなくても国産蜂蜜が安心で安全な蜂蜜だろうと考えてしまいがちです。その考えは半分正解で半分は間違いです。こと、はちみつに関しては「国産は安全」神話は通じ難いようです。

なぜなら日本は蜂蜜後進国で、規制がとても緩い国だからなのです。はちみつの95%を輸入している海外、中でもニュージーランドやヨーロッパの方がとても厳格な規制があり、信頼できるはちみつも多いようです。その理由はいくつかあるので、説明していきましょう。

多くの国で養蜂業者が使用している抗生物質

多くのハチミツ産出国では抗生剤・抗生物質の使用は、要開発国・先進諸国に関わらず薬剤の使用を規制してないそうです。アメリカなどの養蜂は越冬後の春の仕事のひとつとしてまず、抗生剤・抗生物質を餌に与えることから始まるぐらい当たり前の作業になっているというから驚きです。

しかし、はちみつを一種の製品と考えると、生産者であるミツバチの感染症リスクを大幅に軽減できる抗生物質は合理的であり、当然の処置なのでしょう。そして日本の養蜂はどうかというと、抗生剤・抗生物質使用上の規制はありません。昨今、中国をはじめ、東南アジア諸国などの食品に対する問題が多く、一般消費者からしてみれば日本の国産品は安全だと言う考え方がありますが、こと「はちみつ」に限って言えばこれは大きな間違いなのです。国産で名の知れた養蜂業者や、さも家族経営で田舎養蜂をやっている風であっても多くの業者が抗生物質を使用しているのが現実なのですから。

抗生物質をミツバチに与えているかどうかはラベルに記載義務はありません。

では、私たち消費者はどのように抗生物質未使用の蜂蜜を見分ければいいのでしょうか?ラベルではもちろんわかりません。養蜂業者が発信しているホームページなどでも抗生物質に関してはほぼ記載されていないようです。最近、消費者も賢くなってきたので、「非加熱の純粋蜂蜜」などはあえて記載して差別化を図ってきているようですが、この抗生物質は消費者もほとんど知らない情報ですし、ほとんどの業者が使用しているのであえて書かないのが暗黙の了解なのかも知れません。※写真はイメージです。

ニュージーランドのように抗生物質を禁止している国もある

ニュージーランドは数少ない使用禁止国の一つです。ニュージーランドは大古の時代、海底に有った Zealandia と呼ばれる大陸の一部が浮上してできたので、他国のように動植物の多様性が非常に少ないのはよく知られています。そのため、小動物の敵となる肉食動物がいないためキウイのような鳥など固有種も多いようです。このニュージーランドでは養蜂における薬剤、特に抗生剤・抗生物質の使用は厳禁です。ですからひと度、ミツバチに感染症が発生したらそれを治す方法がないため結局は巣ごと即焼却処分となります。もし薬剤の使用が許可されていたら、こうした病気が出ても治療によって復活できる可能性があるのですが、それを選ばないニュージーランドは凄いと思います。

※先日ニュースで、ニュージーランド特産のマヌカハニー に許容範囲ながら微量の除草剤成分が検出されたという報道がありました。原因は、ミツバチが蜜集めをする行動範囲にある農場で除草剤が使用されていて、そこからミツバチが蜜を集めてしまったからのようです。どんなに養蜂業者が注意をしていても周りの環境でそのような事故も発生してしまうんです。

はちみつは輸入品の方が安心だという皮肉

海外からはちみつが輸入される場合、輸入通関時に抗生剤・抗生物質の検査が実施されます。厚労省検疫所の定める残留抗生物質等の数値が規定以上検出されると輸入が承認されないことになります。ですからこの検査をクリアして輸入されれるはちみつは安心なのです。

ところが日本国内で生産されるハチミツは、前述の通り抗生物質使用の規制ががなく、また輸入品ではないので通関での検査もありません。結果、輸入はちみつと比べ抗生物質残留のリスクが大きくなるわけです。ですから国産だから安全と言われるのは単なる俗説にすぎません。

輸入はちみつの品質事情

日本のはちみつは95%以上が輸入品で、(中国85%以上、南米・オセニア・欧州約10%) 国産はちみつは僅か5%以下にすぎません。僅かな国産はちみつも、人工飼料を与えて搾ったり、完熟前の物を搾って製造過程で高温過熱処理をしているはちみつが殆どで、栄養豊富な蜂が自然界から採って、完熟した物を絞っただけの天然の生はちみつは希少で、極僅かしか流通しません。高いお金を出しても、非加熱の生はちみつを手に入れるのは大変困難なのが現状です。

輸入ハチミツの品質としては、加工品用のはちみつとして輸入されるはちみつは残留農薬と抗生物質の除去の為に80℃の加熱が義務付けられています。

蜂蜜は45℃以上に加熱すると本来、蜂蜜の持つ有効成分が破壊されてしまいます。ですから、不安な物質は除去できたとしても、はちみつ本来の味や効果が破壊されてしまってから日本国内に流通するわけです。まあ、加工用のはちみつなので、クッキーや飲料などに使用されて結局熱を通されるので、関係ないかも知れませんが・・・。

では国産蜂蜜は大丈夫かと言うと、約5%の国産蜂蜜も、生産効率を高める為、完熟を待たずに早搾りをして水っぽい糖度の低い蜂蜜を加熱して水分をとばしている蜂蜜や、花木の無い冬に越冬させる時に与える安価な養蜂飼料を餌にして食べさせ、採れた蜂蜜も一年を通して取れる量が安定するという理由と近年養蜂家も高齢化で野山に蜂を持って行かなくても自分の庭先で餌を与えて搾れば手間が省けるとの理由で餌を与えて蜂蜜を搾っている養蜂家も多いのが現状のようです。

そんなはちみつも。一応蜂が取ってきているので「はちみつ」と言っていますが、本来の効果はまったく期待できない蜂蜜も国産の約5%に含まれます。日本では、本来蜂蜜にある有効成分が豊富な天然の非加熱蜂蜜は本当に極少量で僅か0.08%以下です。本物の蜂蜜を手にするのは非常に困難なのです。

本来の蜂蜜は、「何も足さない、何も引かない、非加熱の天然のもの」と言われていますが、日本では本物の蜂蜜はほとんどないと言うことになります。健康効果を期待できる、昔のような火を通さない身体に良い生のはちみつは殆ど一般に流通はしていないのです。

まとめ

今回は、かなりはちみつの品質について、救いようのないことばかり書いてしまいました。では、本当に安心安全な本物の国産はちみつを入手することはできないのかというとそうではありません。非常にハードルが高いですが、信頼のおける養蜂業者を探すことです。できれば、直接その養蜂業者さんの直売所に行き、話をしながら購入することで、より詳しい情報や信頼できる蜂蜜を得ることができるのです。結局は最後は自分の足、目、耳が頼りですね。

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