近年、養蜂は田舎で養蜂家が行うものに限ったものではなく、都会の町中でもどんどん行われるようになっているのを知っていますか?はちみつは大好きで養蜂も興味があるから見学してみたいけど、養蜂家の知り合いもいないしな〜と諦めている方は、諦めないで。意外に近くで養蜂が行われている可能性がありますよ。それも東京や大阪、名古屋など様々な都心の中で。
それらの多くは、営利というよりは、環境活動の一環でやっておられることが多いので、見学できる企画が定期的に開催されているようなので、調べてみてくださいね。
目次
日本の都会の屋上でもできる養蜂「銀座ミツバチプロジェクト」
代表的なものは、都心の養蜂「 銀座ミツバチプロジェクト」まさに東京のど真ん中、銀座のビルの屋上で養蜂が行われているんです。
銀座だけでなく、東京駅前など多くの屋上で行われている。
このプロジェクトは、2006年春、銀座の周辺で働く有志たちが集まり、ビル屋上でミツバチを飼うプロジェクトとしてスタート。養蜂を通して、都市と自然環境との共生を目指す。
蜂蜜はホテル、バー、スイーツ店、デパートなど銀座の技で次々に商品となり話題となりました。まさに日本での都会養蜂の先駆けとも言える活動です。
皆さんは、銀座で養蜂?ミツバチは生きられるの?蜜はどこから集めてくるの?そもそもそんな都会の蜜は排気ガスとかで危険じゃないの?
と色々疑問に思うでしょう。そですね、そう思うのが普通です。
でも大丈夫なんです。実はミツバチは環境指標生物と言われるほど、きれいな環境でしか生きることができません。ドイツのデュッセルドルフ空港では、ミツバチを飼って、空港の空気の状況を20年以上も監視しているそうです。それぐら環境に敏感な生き物なんですね。
実は、 皮肉なことに田舎と違い都会では農薬にさらされることがありません。都会に車がたくさん走っていると言っても、最近の車の排気ガスは昔と比べてとても環境に配慮されているものがほとんどで、心配するほどではないのです。逆に、田舎の方が、農薬や、工場の排煙、大型トラックの排気ガス、一般家庭が勝手に庭でゴミを燃やす煙、都会では考えられないほどの公害にあふれています。逆に田舎の方がミツバチが生きにくいほど環境汚染がひどいのです。
銀座のミツバチの蜜源はどこ?
ではミツバチの食料となる蜜源はどこにあるのでしょうか?確かに、銀座では花畑があるとは思えませんね。でも大丈夫なんです。ミツバチの採集活動の飛行半径は約2.5km。その範囲には、多くの公園や神社、お寺、屋上庭園、マンションのベランダの植木の花、街路樹など蜜源はたくさんあるのです。たまに、販売機の横で、飲み残しのジュースから糖を拝借しているちゃっかりミツバチもいるそうです。これらは農薬がかかっていない分、安全なんですね。
それにミツバチの巣を襲ってくる天敵の、スズメバチやカマキリ、ムカデなんかもほとんどいません。ある意味天国かもしれませんね。
関西の代表的都会の養蜂「梅田茶屋町養蜂場」
関東が銀座なら関西は梅田の養蜂が代表。代表的なものは「梅田ミツバチプロジェクト」が実施している「茶屋町養蜂場」です。皆さんは知っていましたか?
まあ、誰もが見ることのできる1階でやっているわけではないので知らない方が普通なのですが、実は、梅田駅のすぐ横にそびえ立つ「ヤンマー本社ビル」のビルの屋上で行われているんです。
屋上というよりも、最上階が養蜂を前提とした構造になっていると言った方が良いかもしれません。(写真を見ればわかります)。
これはそのヤンマー本社ビルの養蜂場の写真なのですが、実はこれ、ヤンマーの7階食堂の中にある構造で、食堂の席からガラス越しに養蜂が観察できるようになっているんです。
このガラスの中の天井は屋上と繋がっていて、ミツバチが自由に外に採蜜に出かけられるようになっているんですね。
このプロジェクトの活動の意義は次のようなことだとHPに乗っていましたので、転載させていただきます。
ミツバチたちが生きることのできる環境=自然が大阪にあること。
その気づきが広がることで街の環境づくりに参加する意識が高まり、もっと素敵な未来を作ることができる。
その想いで都市養蜂を続けています。地域の未来環境を考え、美味しく無理なく継続できる環境共生活動を行う。
それがプロジェクトが伝えたい想いです。
とても意義ある活動ですね。さすがヤンマーさんがバックアップしている活動だけあります。
あっ、ヤンマーさんのことは皆さん知っていますか?有数の農機具メーカーさんです。農業とミツバチ、そして環境とは密接につながっているので、このような活動はとても会社としても社会貢献の意味でも大切なのだと思います。
銀座ミツバチプロジェクトも、梅田ミツバチプロジェクトも、見学対応もされている時期があるようです。養蜂に興味のある方や、自然環境の勉強したい方にはオススメです。
京都の区役所でも役所と市民が一緒になっての屋上養蜂が盛んです
私自身は、銀座も梅田も機械に恵まれず残念ながら見学したことはありません。私が何度か参加させていただける機会に恵まれたのは、実は京都での活動なんです。
京都の中京区役所(なかきょうくやくしょ)では、2011年度から市民ボランティア団体「京・みつばちの会」と区役所が連携して「京都みつばちガーデン推進プロジェクト」とい活動を推進されています。その活動では、区役所の屋上を屋上ガーデンに作り変え、区民が憩える場所にしそこにみつばちの養蜂箱を置いて飼育しているんです。
プロジェクトメンバーや区民のみんなで、蜜源となる花を植えたり、採蜜を区民公開の場で行って勉強したりと大変な盛り上がりです。この中京区役所のすぐ隣が二条城、そして多くの神社仏閣がある京都ですから、蜜源にも事欠きません。
私もこの活動にとても興味があり、何度か参加し勉強させていただきました。なんと、この活動が認められて、平成の終わりの年に天皇陛下(現上皇様)からお褒めのお言葉を賜ったほどなんです。この活動の事務局長のNさんは皇居にて天皇陛下から「みつばちはどのような花に来ますか?」といったご質問をされたとおっしゃっていました。大変な名誉ですね。
その時、採集した蜜がこれです。ここでは、国内でも珍しく日本ミツバチの養蜂を手がけておられます。
私も、スプーンでひとかけらをいただきました。みてください。この宝石のような透明感。まだ巣のままの塊なので、蜜蝋も一緒ですが。
このまま食べたのですが、いつまでも噛んでいられるぐらい甘く、市販のはちみつと比べると、段違いの美味しさでした。
この中京区の活動は、区民でなくても参加申し込みできるようですので、もし近隣に住んでおられる場合は、HPでチェックしておいて、体験会が開催される際にはぜひ申し込みをしてみてください。→京都みつばちガーデンプロジェクトHP
まとめ
都会での屋上養蜂の紹介をいくつかさせていただきました。養蜂って意外に身近なものだって少しだけ分かっていただけましたか?
実は、屋上養蜂というのは何も日本だけでなく、実は海外では古くから行われていることなんです。
特にフランスでは、養蜂が文化の一つと言っていいほど。養蜂がとても大切にされてきていることから、屋上養蜂は珍しくないようです。
パリのオペラ座やオルセー美術館をはじめ、パリ市内の有名な建造物では養蜂が行われることが多いようです。→オペラ座の養蜂HP
なんかこんな風に書かれると、養蜂ってちょっとおしゃれで文化的な香りがしてきたように思いませんか(笑)。
みつばちは、危険な生き物ではなく、私たち人間に恩恵を与えてくれ、自然を支え、環境を守るとてもとても大切な生き物です。
はちみつが大好きなのはとてもいいことです。でも、できれば、それを作ってくれるみつばちのこと、環境のことまで思いをはせることもしてみてはどうでしょうか。
このブログでは、はちみつ、養蜂の情報を提供しながら、少しこんなことにも触れていければと思います。
注)各活動の写真は各プロジェクトHPより