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ミツバチからの贈り物 蜜蝋の秘めたパワーとは?
蜜蝋(ミツロウ)は、ミツバチが六角形の巣を作る材料として、働き蜂の腹部にある分泌腺から分泌するロウのことです。ミツバチの巣からはちみつと一緒に採集し、はちみつを取り終えた後の巣を溶かして、不純物を取り除いた上で固め、ブロック状にします。別名ビーズワックス(Beeswax)とも呼ばれます。
ミツバチは羽化後、いくつかの役目を段階的に負いながら成長していきます。羽化直後の若いみつばちは、内勤といって、巣の中の清掃や幼虫のお世話係をします。そして12~14日を過ぎた頃は、はちみつや花粉を食べながら、お腹にある蝋鏡(ろうきょう)という器官から、ミツロウを分泌し、巣を作る作業に従事するのです。
いわゆる、ハニカム構造といわれる独特の形状をした巣が、この蜜蝋でできているんですね。
●主成分はワックスエステル(パルミチン酸ミリシルなど)というもので、保湿効果に優れています。
また、人の皮脂中にも存在する成分のため、肌にとてもなじみやすい安心の天然素材というわけです。。
蜜蝋(ミツロウ)の色は淡黄色、濃黄色、黄橙色、茶色など様々で、ミツバチの巣によって異なります。 蜜蝋(ミツロウ)は主に、床ワックス、革製品のメンテナンス、ろうそく、クレヨンの材料として使われています。
歴史を紐解けば、蜜蝋(ミツロウ)は、中世ヨーロッパでは教会用のろうそくの原料として用いられていたそうです。
ロウソクを作るため、教会では養蜂が行われていたほどです。
蜜蝋ロウソクはススが出にくく、香りも良いため、現在でも愛好家がいます。
食用としても活躍する蜜蝋
もちろん、蜜蝋は、花粉由来のビタミン類、鉄分およびカルシウムをはじめ、多くのミネラル成分が含まれているため食用としても利用されてきました。
現在では食用に巣のままの状態で健康食品として「コムハニー」という名称で販売されているほか、カヌレやガムなどの洋菓子にも使用されています。
蜜蝋クリームなど化粧品の材料としても活躍する蜜蝋
最後に注目していただきたいのが、蜜蝋(ミツロウ)の成分には肌の保湿効果や柔軟効果があるので、リップクリームやハンドクリーム、化粧品の材料にも使われているということです。
主成分はワックスエステル(パルミチン酸ミリシルなど)というもので、人の皮脂中にも存在する成分のため、肌にとてもなじみやすい安心の天然素材というわけです。
肌に優しい天然成分の蜜蝋を使った「蜜蝋クリーム」とは
蜜蝋クリームは、先に記載したように肌への負担をかけずに、美肌対策に非常に効果が期待できます。
また、自分で蜜蝋クリームにオリジナルの成分を配合していくことで、自分だけのニーズに合った、オリジナルクリームの作成も可能です。
例えば、ラベンダーを精製した化粧水を混ぜたりしてオリジナルの香りづけをしてもよいかもしれません。
※ご自身が普段使っているクリームにはちみつを少しまぜるのも効果的ですよ。
ここでは蜜蝋クリームに期待できる効果をまとめました。
お肌を保湿する蜜蝋クリームに期待できる効果は、まず何よりも、お肌の保湿効果が挙げられます。
お肌の乾燥を防ぐことは、美肌対策の基本です。乾燥は肌トラブルの一大要因ですよね。
そのため、そうした肌トラブルを予防するために、保湿というケアが必要となるわけですが、蜜蝋クリームは水分や油分を補い、潤いを保つことが期待できるわけです。
さらに、髪をしっとり潤いを与えるのにも蜜蝋クリームは大活躍です。保湿効果が期待できるので、ヘアケアに役立つのです。まさに女性の強い味方ですね。
注意事項も必ず確認してください。あかちゃんのいる家庭では蜜蝋は危険です。
こんなに素晴らしい力を秘めた蜜蝋ですが、ここでは2つの使用上の注意があるので下記に必ず目を通してくださいね。
◆1つはアレルギーです。
蜜蝋は精製前のものは黄色い色をしています。黄色の原因は花粉が含まれているからです。この花粉にアレルギー反応がある場合は使用を避けた方がよいでしょう。ただ、極度に怖がる必要はなく、人間多かれ少なかれ何かのアレルギーはあるものです。
◆もう1つは、赤ちゃんのいる家庭の場合のボツリヌス菌への注意です。
はちみつはボツリヌス菌の芽胞が入っている可能性があり、あかちゃんに食べさせてはいけないというのはよく知られていることですね。→参照頁
万が一、このボツリヌス菌により乳児ボツリヌス症を発症してしまうと命を落としてしまうこともある恐ろしい菌です。
では、蜜蝋はどうなのでしょうか?さすがに食べさせるわけではありませんが、あかちゃんの肌の保湿に使ったり、お母さんや周りの家族本人が使用することはあるでしょう。保湿クリームとして、または革製品や床のワックス変わりに使用することもあるでしょう。
結論を先に言うと、あかちゃんがいる家庭では蜜蝋関連のものは使用しない方が無難です。
もちろん、はちみつほどの心配はありませんが、はちみつの絞りかすから取り出す蜜蝋ですから、ボツリヌス菌の芽胞が混じっていないとは言い切れないのです。
加熱処理されている場合でも、ボツリヌス菌は熱に強いため殺菌しきれていない可能性もあるのです。
※ボツリヌス菌はちみつや蜜蝋に100%混入しているわけではありません。あくまで混入している可能性があるということです。
ただし、蜜蝋を使った子供用のクレヨンは「子供が舐めても大丈夫」等と記載されている場合は、かなりの高温処理で滅菌されているので大丈夫です。
まとめ
いかがでしたか、ミツバチたちが集めたり作ったりするものは、本当に何一つ無駄がなく、全て私たち人間に有益なものばかりなのがわかりますね。
ミツバチが私たちにプレゼントしてくれているのははちみつだけではないのです。
まさに、太陽とミツバチに感謝です。